はじまりは「どんぐり」

「しりとり」

年長さんくらいのお子さんとよくやる遊びです。

しりとりができるようになるということは、例えば「さかな」という言葉は「さ」「か」「な」という3つの音から成り立っているな、最初の音が「さ」で、最後の音は「な」だな、というようなことがわかるようになったということ。

そういう力のことを、音韻能力とか音韻意識とか言ったりします。


昔よく「グリコ」という遊び、しませんでしたか?(今やってる子を見かけないから、もはや古の遊びなのかな)

じゃんけんをしてグーで勝ったら「ぐ、り、こ」
パーで勝ったら「ぱ、い、な、つ、ぷ、る」
チョキで勝ったら「ち、よ、こ、れ、い、と」

と言いながら一歩ずつ進んで行って、先にゴールに着いた人が勝ち、というたいへんシンプルで楽しい遊びです。(というか大抵は学校帰りにやるので、お互いじゃんけんができなくなるまで離れ離れになったら終わり、という感じだったような)


今気が付いて感動したのですが、「グリコ」の遊びで使われるのはたった3種類の単語なのに、

・清音のみの「ぐりこ」
・促音が入った「ぱいなっぷる」
・拗音と長音の入った「ちょこれーと」

なんとバランス良く、特殊音節が含まれていたんですね…!
難しい特殊音節を楽しみながら学べる素晴らしい遊びだったとは。

<特殊音節>
拗音(ようおん): 「きゃ・きゅ・きょ」「しゃ・しゅ・しょ」など、小さい「ゃ・ゅ・ょ」の付く音。
促音(そくおん): 「はっぱ」「らっこ」などの小さい「っ」が付く音(つまる音)。
長音(ちょうおん): 「おかあさん」「おとうさん」など、伸ばす音。
撥音(はつおん): 「しんぶん」「りんご」などの「ん」の音。


話は逸れましたが、どうして小児STがそんなに音韻にこだわるかというと、この音韻の力は、正しく言葉を発音する力や、いずれ小学校で習う文字学習と深く結び付いているからです。

なので、私は年長さんくらいのお子さんとよく、しりとり遊びをします。
言葉で言うだけでなく、文字が書ける子とは、好きな単語を交互に書いてしりとりをする「文字しりとり」もします。
間違えながらでも文字が少しずつ書けるようになったお子さんは、とても喜んでやってくれます。


でもしりとりって、最初の言葉を何にしようか、地味に迷うんですよね。

「しりとり」の「り」から始まる言葉だと、少ないかなあ…とか
お子さんのお名前でも良いんですが、「が」とか「ゆ」とか、いきなり難しい音になるのもどうかなあ…とか
なんか色々考えちゃって、すぐに思い付かなくて、この前来てくれたお子さんに「はじまりの言葉、何が良い?」って、聞いてみたんです。

そしたら何の迷いもなく、


「どんぐり!」


…びっくりしてしまいました。

「どんぐり」ですよ。

なんてシンプルで、可愛い響きの言葉なんでしょう。
そんな可愛い単語を、何の迷いもなく言ってくれた、年長さんの女の子。
そうか、あなたにとっていちばん親近性の高い言葉は、「どんぐり」だったかあ。

道端に落ちているどんぐりに駆け寄って、そっとポケットにしまうその子の姿が見えるような気がしました。


そんな可愛い言葉、おばちゃん思い付きもしなかったよ……

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この記事を書いた人

いろんな現場でごはんをもらって生息している小児専門の言語聴覚士。

日々、お子さんたちに癒されながら臨床をしています。

休みの日はじっとしています。

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