スペクトラムって?

スペクトラム=連続体(グラデーション)。
虹のように境目がなく、グラデーションでつながっている、という概念です。

かつては「自閉性障害」「アスペルガー症候群」など、診断名が分かれていましたが、現在は「自閉スペクトラム症(Autism Spectrum Disorder)」という一つの診断概念の中にまとめられるのが一般的です。

特徴的な症状はあるけれど、その表れ方は人によって違う。
なら、細かい診断基準を作って分類していくよりも、共通する特徴を持つ人たちを一つのスペクトラム(連続体)として捉えよう、という考え方なのでしょう。

”連続体(グラデーション)” というと、白から黒への濃淡のような直線的なグラデーションをイメージしがちですが、実際は色彩豊かな虹のように、一人一人に多様な発達特性がそれぞれの濃淡をもって表れていて、境目もない。私はそんなイメージが近いように感じています。

「スペクトラム」という言葉は自閉スペクトラム症と結びついて使われることが多いですが、発達特性の現れ方は、ADHDやLD(学習症)などにおいても一人ひとり異なるグラデーションを持っています。
自閉スペクトラム症に限らず、発達特性を診断名だけで捉えるのではなく、一人ひとりの特性や困りごとに目を向け、より個別性の高い支援につなげていくことが大切なのだと思います。

結局あるの?ないの?

このスペクトラムという概念、臨床をしていると非常に腑に落ちるのですが、一般的にはなかなか理解されづらいところもあるのかな……と感じています。

だって、インフルエンザなのかそうじゃないのかは、検査をすれば「陽性か・陰性か」パキッとわかりますし、治療薬もあります。
でも、スペクトラムとか、グレーゾーンとか、とても曖昧で、診断名が付くか付かないか、はっきりとわからないことも多い。

「あるの?ないの?どっちなの??」
って感じ……

目の前の「この子」を見る

それでも、この「スペクトラム」という概念を保護者の方と共有しながら目の前のお子さんを見ると、

「ああ、この子はこういう場面で、こういう特性が表れやすいんだな」
「ここが苦手そうだから、こういう支援や工夫をしてみよう」
「逆に、ここはすごく強みだから、どんどん伸ばしていこう」

そんなふうに、一人ひとりの特性や困りごとに目を向け、その子のいる「環境」も考慮した上で、具体的な支援へとつなげやすくなります。

「スペクトラム」という考え方は、診断名にとらわれるすぎることなく、目の前の「この子」を多角的に理解するための大切な視点なのだな、と感じています。

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この記事を書いた人

いろんな現場でごはんをもらって生息している小児専門の言語聴覚士。

日々、お子さんたちに癒されながら臨床をしています。

休みの日はじっとしています。

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